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スッタニパータ56

56.
貪ることなく、偽ることなく、渇望することなく、見せかけで覆うことなく、心の濁りと迷妄を取り除き、いかなる世界においても願望がないものとなって、ただ一人で歩むがよい、一角の犀のように。

解説

全ては自分が作り上げている幻想です。人は自分で不足感を作り出し、何かが足りないと思い、それを欲しいと考え、それを得ようと行動し、それを得て満足する、あるいは求めた結果を得られず不服に感じます。
人は起こっている現象の一部を切り取り、その切り取ったものに自分なりの意味を与えストーリーを作り、それを評価し反応しています。自分が作った作品を自分とは分離した世界だと考え反応しているだけなのです。
自分が作り上げた世界に対して、何かが不足だと思ったり、欲しいと思ったり、嘘をついたり、評価したりする必要はないのです。世界とは自分の心の現れです。自分の心の動きの結果です。それが自分と別なものとして反応する意味はありません。ただただ自分が造り上げたことが起こっているだけなのです。
世界は自分の意識の範囲だけ広がります。自分の中に意識をおけば、それが自分だと思うでしょう。自分以外のもの、植物や動物、地球や星々、銀河や宇宙にまで意識をおけば、それが自分になるでしょう。意識は体である物質とは何の関係もないということを知るでしょう。意識はどんなものでも意識そのものが設定した存在になるのです。

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