信心銘(三)

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考えや感覚の世界である有を追ってはいけない。無為の世界の空の中に陥ってもいけない。
一体性の中に穏やかにあれば、すべての問題は自ら消滅していくだろう。
心の動きを止めて静かにしようとすると、その静かにしようとする働きがさらに心を動かす。
有と空、動と静というようなどちらかの極端にいるかぎり、決して本来の一体性を知ることはできない。

解説

心が作り上げた概念の世界や感覚の世界をいくら追求しても、そこに真実はありません。概念や感覚の世界は自分が作り上げていることを忘れてしまっていると、それを追求することで、さらに複雑性の中に迷い込むだけです。
どんな概念であろうと、どんな感覚であろうと、それらは私とその他という分離です。分離は取捨選択です。どちらかが良くてどちらかが悪いという肯定否定は、調和と全体性から離れます。
全てのことが重要であるという考えも、すべてのことが意味がないという考えも、どちらも自分の心が作り上げたもので、いずれも複雑さや虚無感の中に生きることになります。それはどちらも心が作り上げた幻想なのです。

本来の一体性にあるには、心が作り上げたものから離れなくてはなりません。そこから離れたときには、自ら作り上げた複雑さや虚無感は消え去り、すべての問題は自ずと消滅していくでしょう。
あれかこれか、どちらが良くてどちらが悪いか、どちらか一方を選ぶ限り、本来の一体性に 在ることはできないのです。
あれもこれも、良いも悪いも、どちらも手放した時、本来の一体性・「道」に在ることでしょう。

原文

莫逐有緣 勿住空忍 一種平懷 泯然自盡
止動歸止 止更彌動 唯滯兩邊 寧知一種

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