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信心銘(二)

これは違うとかそれは合っているとかを争うのは、
それこそは心の病である。
本来の道理を知らなければ、
いくら心を静かにしようとも無駄である。

本来の道理とは虚空のように完全であり、
欠けるところも余るところもない。
まさに良いとか悪いとかの取捨選択のために、
本来の道理から外れてしまうのだ。

解説

これが正しいこれが間違っていると言っているのは、自分の心が作り上げている病です。心は現実を分割し、一方を肯定し他方を否定します。それは全体としてのあるがままの現実ではないのです。あるがままの現実を見ないまま、心が作り上げた世界に生きると心が病んできます。
起こる状況に不平不満をいい、物事をコントロールしようとすれがするほど心は現実を分割し、心は分離の中で喜んだり苦しんだりを繰り返します。
本来の現実をありのままに受け取ることをすると世界の完全性が分かりますが、少しでも心の作り上げた世界にとらわれると、その幻想がさらなる幻想を生み出し、心は自分が生み出した幻想の中で迷うことになるのです。
言ってみれば、取捨選択のない世界・虚空が完全な道理であり、その虚空から生まれ出ては消えゆくものにとらわれないことなのです。

良いとか悪いとか、どちらが良いかどちらが悪いか、そう思った瞬間に心が世界を分割して、本来の道理から外れてしまうのです。全てであること、調和にあることから離れてしまうのです。

 

原文

違順相爭 是為心病 不識玄旨 徒勞念靜
圓同太虛 無欠無餘 良由取捨 所以不如

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