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信心銘(八)

一体性であるありのままの空は、心や現実と同様、森羅万象を含んでいる。
それは、精緻であるとか粗雑であるとか区別をしないので、何かの意見に偏るようなこともない。
大いなる道はゆったりとしたもので、易しいものでもなく難しいものでもない。
小さな見方をすると疑いを持つことになり、焦るとますます遅れることになる。

 

解説

本来の一体性というのは、空なのです。空はその中に自分という存在やそれを取り巻くあらゆる状況、あらゆる世界を含んでいるのです。それがミクロの世界であれマクロな宇宙であれ、それは空から生まれるものなのです。
空は自と他を生み出し、他は自分という概念以外のすべてのものであり、自分を取り巻く世界として現れます。その世界は自分との相対であり、世界というのは世界だけが存在することはなく、自分という概念が世界という他方が存在させるのです。
なので、相対の片方に在る限りは本来の一体性を見失ってしまいます。自分が認識している他である世界が、もともとは自分とのセットで一つのものであると知りことです。それらは空から生まれているのです。
ひとつの概念にこだわると、それを生み出している大本を見失います。良いとか悪いとか、大きいとか小さいとか、正しいとか間違っているとか、生み出されたものにこだわらないことです。それらを生み出しているものも同時に見ることです。
世界を分析したり、解釈したりすると、それを生み出している本当の原因を見失います。現れたものだけに意識を向けるのではなく、それが現れているとしている意識に気づくことです。
意識は何を創造しているのか。

 

原文

一空同兩 齊含萬象 不見精麤 寧有偏黨
大道體寬 無易無難 小見狐疑 轉急轉遲

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