30.
すぐに大雲が現われて、雨を降らし、低地も丘も雨でみたした。神が雨を降らすのを聞いて、ダニヤは次のように語った。
31.
「私は尊き師にお目にかかりました、私の得たところは実に大きなことです。知恵の眼がある方よ。私はあなたに帰依します。あなたこそが私の師となってください。大いなる聖者よ。
32.
妻も私もともに従順です。幸せな人のもとで清らかな修行を行いましょう。生死の彼岸に達して、苦しみの元を滅しましょう。」
33.
悪魔が言った、
「子のある者は子について喜び、また牛ある者は牛について喜ぶ。執著する元があることが喜びである。執著する元のない人は、実に喜ぶことがない。」
34.
師は言った、
「子のある者は子について憂い、また牛ある者は牛について憂う。執著する元のない人は、憂うることがない。」
解説
どんなものであれ、それに執着すると、一時期はその執着により喜びが得られるのですが、それを失う時にはその喜びと同じ大きさの悲しみや失望感に襲われます。
執着による自分の心の条件付け、「何々があるから幸せだ」という設定が「何々がないと不幸せだ」という設定も同時にし、何かを失った時の苦しみを生みだします。
世界の状況と自分の心の状態を結びつけているのは自分です。
起こってることと自分の心は自分で繋げていたのだ、自分で意味づけをしていたのだ、と気づくと、そこで自分と世界が真の意味で同じものであり、自分が世界と言っているものが自分で作り上げていたと知るでしょう。