74.
貪りと怒りと無知とを捨て、諸々の束縛を引き裂き、生命の消滅を恐れることなく、ただ一人で歩むがよい、一角の犀のように。
解説
意識・心が自分の世界を創っているのを忘れると、自分の完全性を忘れ、自分の存在が不完全なもの欠点があるものだと思い込みます。
自分というのは何かが足りない、もっとあれが欲しいこれが欲しい、それがあったら幸せになれる、と考えます。
自分というのは全体的な存在ではなく小さな存在であると信じて、それが生み出す小さな価値観にこだわり、その小ささに気付いたとき、あるいは他人から指摘されたとき、怒りを覚えます。
自分の完全性から遠く離れ、意識・心が創り上げた世界に迷い込むとき、自分が何も知らないという錯覚に陥ります。
自分という制限された存在を信じていると、それに伴う制限された思いや体験を生み出します。
実は、自分の命、生命という観念でさえ、自分という制限された考えから生み出されたものなのです。観念は波の泡のように生まれては消えていきます。
波によって起こる泡のような自分という観念が、意識・心によって創られたものだと知り、自分という制限された思いから解き放たれたとき、全てが一つである意識・心が現れるでしょう。