国は小さく、人民は少ない。
さまざまな道具があっても、それを使うことがない。
人民は生命を大切にし、遠方に移り住むことない。
船や車があっても、それに乗ることがない。
武器やよろいがあっても、それを並べて見せておくことがない。
人々は昔のように縄を結んで記録する方法を用いる。
自分の食べ物をおいしく食べる。
自分の着るものをきれいだと思う。
自分の住まいに落ち着く。
自分の習慣のままに過ごす。
隣の国は向こうに見ることができて、
鶏や犬の鳴き声は互いに聞こえるが、
人民は老いて死ぬまで、互いに往き来することはない。
原文
小國寡民。使有什伯之器而不用,使民重死而不遠徙。雖有舟輿,無所乘之,雖有甲兵,無所陳之。使人復結繩而用之,甘其食,美其服,安其居,樂其俗。鄰國相望,雞犬之聲相聞,民至老死,不相往來。