スッタニパータ5

5.

イチジクの樹々の中に花を探しても見つからないように、あらゆる状態の中に自己を探してもその存在が見えないならば、そのような求道者は、あの世とこの世を行き来する輪廻転生を捨て去る。あたかも蛇が古い皮を脱皮して捨てるように。

解説

人は自分の存在の意味や証拠を、過去・現在・未来の中に見出そうとします。
自分はこんなことをした、自分はこんなものを持っていた、自分はこう思う、自分はこうなるんじゃないか、など。
自分とは何かと真剣に突き詰めると、自分というものが消え、観察の主体と客体を設定している「意識」だけが残ります。
意識が自分と自分以外を作ります。意識が自分と世界を作ります。意識が過去・現在・未来という時間を作ります。意識がこの世とあの世を作ります。意識がさまざまな道具を使って自分というストーリーを作ります。
作っているものと作られているもの、それら両方を合わせて「意識」なのです。
作るものと作られたものが同じものであると気づくこと、それが解脱であり悟りなのです。

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