58.
学識があり真理を理解し、高邁で聡明な友と交際しなさい。ものごとの道理を知り、疑惑を払いのけ、ただ一人で歩むがよい、一角の犀のように。
解説
人や自然や大宇宙に尊敬の念を抱くとき、それは一体の道を進んでいるときです。崇敬の念は自我を溶かし、自身の存在を固定化しているものを無くしていきます。自分という観念を溶かしつつ、その観念自体自分が作っていると気づきます。
世界に対して崇敬の念で向かい合う時、世界はその本質を現します。自分が状況に翻弄されているように感じる時、それは自分が世界に対してうまく機能しない意味づけをしているだけなのです。世界は心を開いて崇敬の念を持って対面するとき初めてその本来の姿を見せるのです。
全てに対して自分のあり方が反映されているのに気づくのは難しいと思うかもしれません。初めは人に対して尊敬の念を抱くことです。どんな相手にも尊敬の念を抱くのが難しい時は、尊敬できる人に近づき、できるだけ崇敬の念を自分の中に育てることです。自分の中に生まれた崇敬の念を自分の周りの世界にまで広がるように育てることです。
いずれ世界に対する共感と反感は自分が生み出していると知り、世界は自分の鏡であると知り、自分という存在自体が自分で創り上げてたと知るでしょう。そこにあるのはただ自分と世界を創り上げている意識だけだったと。