Adho Mukha Vrksasana
アドー・ムカ・ヴルクシャアーサナ
逆立ちのポーズ、下向きの木のポーズ
Handstand
文字通りには、『下向きの木のポーズ』だが、より正確にポーズを名付けると『下向きの山のポーズ』となるだろう。このポーズの体・手・足の配置は『山のポーズ』と全く同じで、少し違う点は腕の位置だけである。
前腕でバランスを取るポーズや『頭立ちポーズ』のような逆さになるポーズと同様に、『逆立ちのポーズ』には転倒するという恐怖が伴う。このためこの基本のポーズは大抵、かかとを壁につけた状態で記述されている。ポーズを行なう前に必ず、壁に何も障害物がないか、あるいは天井から何もぶら下がっていないかを確認すること。
アドー・ムカ・ヴルクシャアーサナAdho Mukha Vrksasana
- アドー(adho mukha) = 下を向く
(アドー(adho) = 下方へ; ムカ(mukha) = 向く) - ヴルクシャ(vrksa) = 木
- アーサナ(asana) = ポーズ
効果
- 肩、腕、手首を強化する。
- 腹部を伸ばす。
- バランス感覚を高める。
- 頭を落ち着かせ、ストレスや軽い欝を軽減する。
解剖学的焦点
- 悩
- 下垂体
- 腕
- 肩
- 脚
- 背骨
- 肺
- 手首
禁忌
- 背中、肩、首の障害
- 頭痛
- 心臓疾患
- 高血圧
- 月経期間
- このポーズに経験を積んでいるなら、妊娠後期まで行なってもよいが、やったことのない人は妊娠後にはこのポーズを始めることはしないこと。
方法
- 指先を壁から数センチ離し、手は肩幅に開き、『下向きの犬のポーズ』を行なう。肩が固い人は人差し指を少し外に広げる。そうでなければ人差し指は平行に。このポーズの準備のために、肩甲骨を背中に固定し尾骨のほうに引く。それから肩甲骨を広く保つために、上腕を外側に回転させ、腕の外側を内側に抱き寄せる。最後に手のひらを大きく開き、人差し指の付け根をしっかりと床に押し付ける。
- 次に、片方の足(右足だとする)を曲げ、壁に向かって一歩出す。もう一方の足(この場合左足)はかかとまで伸ばし動かせるようにしておく。逆さになる前に、何度か跳び上がる練習をする。壁に向かって大きな円を描くように右足を上げ、左足で床をけり、すぐに膝を伸ばしかかとを押し上げる。両足が床から離れたら、お尻を肩の上に保つために腹筋を使う。ここのように跳んだり降りたりを数回行なう。毎回少しずつ足を床から高く上げていく。跳ぶ時には息を深く吐くこと。
- このように跳んだり降りたりがさしあたりできることかも知れない。『下向きの犬のポーズ』や『板のポーズ』と同様に、規則的に練習し強化していく。最後には、一気にポーズに入ることができるようになる。最初はかかとが壁に勢いよくぶつかりがちだが、練習するにつれ、かかとを静かに壁につけることができる。
- 脇や脚の付け根が固い場合は、腰が大きく反りがちである。ここを伸ばすには、肋骨前部を引き、尾骨をかかとの方に近づけるようにし、かかとを壁の上の方へ動かす。足の外側を締め、太ももを内側に回しこむ。頭は肩甲骨の間からぶら下げ、部屋の中央を見つめる。
- このポーズを深い呼吸で10~15秒間行なうことから始める。少しずつ時間を1分間まで延ばしていく。床に降りる時には、肩の上に崩れ落ちないようにすること。肩甲骨を高く広く保ち、息を吐きながら足を片方ずつ降ろす。30秒~1分間『立った前屈のポーズ』を行なう。いつも片方の足で飛び上がる傾向があるので、日ごとに跳ぶ足を変えるようにすること。
修正と支持
一つの方法は、クッション入りの支持台を両手の間に置き、頭頂部を支えることである。頭が支えられると、姿勢が安定し、自信もつく。しかし、支持台を正しい高さにするのは少し手際を要する。支持台が低すぎると頭は支えられず、高すぎても首が縮んでしまう。ヨガブロックを先に置き、その上に毛布やクッションを重ねる。どのくらいの高さにするのかは腕の長さによる。適当な高さになるまで試してみること。それから支持台の横に手を置く。『下向きの犬のポーズ』で準備し、それから支持台の上に頭をのせ、頭の後ろを壁につける。あとは上記の指示に従う。
変化型
手の位置を変えることでこのポーズに変化をつけることができる。例えば、手の幅を肩幅より狭くし、支持の底面を減少させることにより、バランス感覚を発達させることができる。あるいは手を外側に回すことにより、上腕を外側に回す方法が分かる。
準備のポーズ
- 下向きの犬のポーズ(アドー・ムカ・シュヴァーナアーサナAdho Mukha Svanasana)
- 鶴のポーズ(バカアーサナBakasana)
- 羽を上げた孔雀のポーズ(ピーンチャ・マユーラアーサナPincha Mayurasana)
- 手足で支えた棒のポーズⅡ(板のポーズ)(チャトゥランガ・ダンダアーサナⅡ Chaturanga DandasanaⅡ)
- 横たわった英雄坐(スプタ・ヴィラアーサナSupta Virasana)
- 山のポーズ(タダアーサナTadasana)
- 立った前屈のポーズ(ウッターナアーサナUttanasana)
- 英雄のポーズ(ヴィーラアーサナVirasana)
後に続くポーズ
- 頭立ちのポーズ(シールシャアーサナSirsasana)
- 羽を上げた孔雀のポーズ(ピーンチャ・マユーラアーサナPincha Mayurasana)
初心者のための助言
初心者の多くは肘をまっすぐに保つのが難しい。ストラップなどを上腕(ちょうど肘の上あたり)に巻き固定する。腕を前に伸ばして肩幅に広げ、ストラップがちょうどぴったりくるように調整する。それからストラップをしてポーズを行なう。その時、ストラップを外側に引っ張るのではなく、少し腕を内側に入れるように意識すること。
ポーズを深める
頭を上げ床を見るのはより難しい。首の付け根を無理に押し込まないようにすること。頚部の曲線を維持するために、首の後ろ側にソフトボールが置かれているのを想像すると良い。また、頭を上げる際に、肩甲骨を背中により深く押し付けることを意識する。頭を壁につけ、片方の足のかかとを壁から離し天井の方に強く伸ばす。そのかかとを元に戻し、逆の足でも行なう。最終的に両足のかかとを壁から離し、壁につけた頭だけでバランスをとる。
パートナーと行なう
パートナーは、尾骨の動きを感じる手伝いをすることができる。ポーズをしたらパートナーはその前に立つ。骨盤の周りを腕で囲み片方の手でもう一方の手首をつかみ、仙骨を支える。それから骨盤の後ろを引き上げ、尾骨をかかとの方に持ち上げる。
ヴィンヤーサの例
吐く
1. 吸う 2. 吐く 3. 吸う 4. 吐く 5. 吸う 6. 吐く |
サマスティティ
両手を上に 立った前屈のポーズUttanasana 頭を上げる 手足で支えた棒のポーズⅠChaturanga DandasanaⅠ 上向きの犬のポーズ 下向きの犬のポーズ |
ヴィンヤーサ・ダウン |
7. 吸う
8. 吐く 9. 吸う 10. 吐く 11. 吸う 12. 5呼吸 13. 吐く 14. 吸う 15. 吐く |
跳んで腕の間をくぐり、『棒のポーズ』
横になる 手と足を上げる 手を頭の横に置き、足はお尻の外側に置く。 お尻と肩を床から上げる 『上向きの弓のポーズ』URDHVA DHANURASANA 体を床に下ろす 『輪のポーズ(後ろ回転のポーズ)』 『手足で支えた棒のポーズⅠ』Chaturanga DandasanaⅠ |
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16. 吸う
17. 吐く 18. 吸う 19. 吐く |
上体を起こす
手を床につける 足を蹴り上げ『逆立ちのポーズ』 足を床に |
3回行なう |
20. 吸う
吐く |
上体を起こす
サマスティティ |